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『重耳(上・中・下巻)』(宮城谷昌光・著)再読了

 宮城谷さんの小説にはじめて触れたのが、たぶんいまから10年くらい前。本屋でたまたま見かけて買った『孟嘗君(もうしょうくん)』(全五巻)があまりにも面白くて、ついつい引き込まれて一気に読んでしまった記憶があります。

──こんなに面白い小説があるとは。

 と、この小説に出会って以来、次から次へと宮城谷さんの歴史小説を読むことになったのですが、この『重耳(ちょうじ)』は『孟嘗君』の次に読んだ本だと記憶しています。ということで、かれこれ2,3度『重耳』は読んだのですが、またまた再読しました。時間が空けば『重耳』を読む……というぐらい、僕はこの小説が大好きなんです。

 重耳とは(ちょうじ)と読み、古代中国の春秋(しゅんじゅう)時代に存在した、晋(しん)という国の君主です。当時の中国は、中央に周(しゅう)という国があって、その周辺に諸侯と呼ばれる小さな国が乱立している時代です。といっても、周の統治能力は時代とともに衰微してきて、名誉職的なものになりつつあり、権力は周辺の諸侯に移りつつある時代。日本でいうと、中央に足利幕府がありながら各地には守護大名が各国を統治しており、足利氏の支配が京の周辺のみとなっていた室町時代中期以降とよく似ている感じです。

 そんな乱世の到来をつげる時代に、晋の第二公子として重耳は生まれます。そう、この公子(こうし)という字の響きがたぶん僕は大好きなんです。王子というほどおこがましくもなく、しかし気風と威厳と格式と美貌と秀麗さと上品さと若さを合わせもったようなこのコトバ。日本ではあまりというか、ほぼ皆無ですし。しいてあげるならば、伊達公子ぐらいですか。

 話をもどして……。

 公子として生まれた重耳ですが、順風な人生は送れません。晋君である父の後妻として入った継母にうとまれ、親孝行で名声のある兄と利口な弟にはさまれるかたちで兄弟の中では一番地味で配下には有力な家の者はつかず、後継者争いの陰謀に巻き込まれ40歳を超えた頃に国を出ていくはめになり、以来各国を放浪。食料はつき、命は狙われ、他国の君主からは冷遇された艱難辛苦な旅を繰り返し、60歳を超えた頃にようやく帰還して晋の君主となり、春秋時代を代表する君主の一人となる物語を描いた長編歴史小説です。

 大きな苦労をして、大きな成功をつかみ取るという、人生の教訓譚のような物語ですが、そんな道徳的な内容を一切抜きにしてもこの小説はすばらしいできだと思います。

 重耳を描くために晋国の起こった歴史から書き始め、晋国内の内乱の勃発した事由である祖父の祖父である成師(せいし)を描き、祖父である称(しょう)を描き、そして重耳と同時代に活躍した名門出身の配下たちと、各国の英明な君主たちと、この時代に生きた人たちがダイナミックに描かれています。

 辺鄙な位置にあり、弱小国であった晋という国がどうして強くなったのか。重耳がどうして覇者となれたのか。重耳の死後、強大になってはいくものの、権力は臣下の大臣が握り次第に衰退していく晋ですが、この小説を読むと、晋のもっともよかった時代に触れることができます。

 もちろん評価は、★★★★★です。
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『三国志(第2巻)』(宮城谷昌光・著)読了

 最近は時間があまりなくてなかなか読めませんでしたが、宮城谷版『三国志〈第2巻〉』ようやく読み終えることができました。

 1巻もそうでしたが、なかなか知っている人が登場してくれなくて……。「三国志」を読んでいるというよりむしろ、「後漢書」を読んでいるという感はずっと否めずにいながら読み進めていきました。

 2巻の概要ですが…

 質帝(10代皇帝)~桓帝(11代皇帝)の梁太后執政から、“党錮の禁”を経て“黄巾の乱”までのできごとが描かれています。

 相変わらず、皇后(皇帝の后)や皇太后(前皇帝の后)の実家である外戚一族と、皇帝の近臣であるはずの宦官と間で政争が繰り返され、その都度外戚一族は政争に敗れ消えていきます。即位した皇帝は凡庸な人物。宦官たちは皇帝をいい操り人形とし、自分たちの好き勝手なままに政治を行います。

 政治能力の低い宦官たちが行う国の政治を憂う当時の知識人たちは、皇帝に対して国の実情を訴え変革を促します。しかし、悪賢い宦官たちは、皇帝には自分たちにとって都合の悪い真実は伝えず、知識人たちの進言には讒言をもってことごとく封じ、知識人たちを次々と獄に送ります。

 そんな乱れた政治の続く後漢王朝。いよいよ三国時代の英雄たちが産声を上げます。155年に曹操、翌年に孫堅、161年に劉備と、三国志の前半期を彩る男たちが誕生します。いよいよだ、うれしー!

 廬植の門下生となるものの、まだきわだった輝きを放つことのない劉備。

 若くして海賊退治という武勇伝を引っ提げて官職に就き、黄巾賊討伐に向かう孫堅。

 そして、主人公格の曹操。利発な悪ガキ少年時代から、宦官の孫というコンプレックスに悩む青年時代を経て、才覚を高官に見いだされて官途に就くも、一度郷里へと戻り引きこもり。再度、中央の役職に就いたところで、時代は黄巾の波に襲われ、彼は騎兵隊を率い賊の討伐に向かうというところまで。

 大好きな曹操がかなり魅力的に書かれていて、それだけで読みやすいです。なぜか、悪役の代表として描かれることの多い董卓まで魅力的に書かれているのは違和感がありますが、歴史書をかなり熟読して小説を組み立てていく宮城谷さんのことやから、こちらの方がより真実に近いのかも。

 凡庸な皇帝と悪辣な宦官たちが行う不公平な政治に対して、国を憂い民を思うことで自身の命を顧みることなく進言をし続ける、勇気ある文官たち。外敵からの侵略、国内の反乱軍に対して、臆することなく戦い勝利を収めていく将軍たち。後漢の時代にも多くの賢臣、名将たちが存在していたんだと初めて知りましたね。

次巻以降も楽しみです。

『三国志(第1巻)』(宮城谷昌光・著)読了

──宮城谷さんが三国志を書いたらさぞ面白いだろうなぁ

 と、宮城谷ファンなら、そして中国史小説好きなら誰しもが考えていたことだと思いますが、僕も宮城谷さんが描く三国史小説を読みたいと切望していたひとり。そして、ついに宮城谷さんが三国志を執筆され、単行本全7巻として世に出たのが数年前…。

 しかし単行本はページをめくりにくく、なおかつ価格が高いというハードルがあることもあり、欲深いことに今度は、

──早く、文庫化されないかなぁ

 と、願っていたのですが、待ちに待った文庫本が出版されました。

 ということで、宮城谷昌光氏版・文庫本『三国志〈第1巻〉』。さすがに、amazonマーケットプレイスではなかなか出品されないし、出品されても新品と値段もさほど変わらないだろうから、amazonで新品1・2巻を購入しました。

 1巻の概要ですが…

 吉川三国志や横山三国志、北方三国志では“黄巾の乱”から始まるのですが、この宮城谷版では、その遙か以前の時代から始まります。後漢王朝の創始者である、光武帝・劉秀(後漢初代皇帝)から数えて3代目にあたる、章帝の治世から始まります。後漢という王朝は約200年、14代の皇帝が即位します。黄巾の乱の時代の皇帝が12代の霊帝で、魏に譲位する最後の皇帝が14代の献帝です。そして、三国志の時代は通常、この後漢末期から魏・呉・蜀の三国時代を経て、晋による統一といったながれの約百年間が舞台となります。

 が、この宮城谷版では、何を思ってか3代皇帝の時代から物語は始まる……。日本史でたとえるならば、戦国時代の物語だと思って買い、読み始めてみると足利義満の時代のことから書かれ始めていた。
軽いカルチャーショックです。

 当然“三国志”といいながら、1巻では曹操や劉備といったおなじみの人物は登場しません。少年の宦官として、曹操の祖父・曹騰がかろうじて登場するくらいです。映画『レッド・クリフ』の舞台となる“赤壁の戦い”の、100年ぐらい前の時代です。

──こんなに時代を遡る必要はあるのか?

 と最初は疑問に感じていましたが、後漢王朝時代の流れを知ることができ、とても興味深く読みふけることができました。

 後漢王朝は、初期のころは英明な皇帝が即位しますが、中期を過ぎる頃からは残念なことに幼い皇帝がつづき、政治の実権は幼い皇帝の実母(皇太后)の一族である外戚に握られます。皇帝の元に政治の実権を取り戻すために、忠義心厚い皇帝の私臣である宦官が外戚一族を滅ぼしますが、今度は政治能力のない宦官一派が政権を牛耳るという、悪循環が繰り返され、国は乱れていきます。

 宮城谷版を読み進めていくと、こういった経緯、時代背景を経て黄巾の乱にはじまる三国志に続いていくというのがよくわかりました。後漢時代といえば、いままでは陳舜臣氏の『小説十八史略』ぐらいしか読んでいないので、僕にとっては新境地を開拓した感じがします。

 宮城谷版三国志では、おなじみの登場人物がどのように描かれているのか。次巻以降もとても楽しみ。

『花の歳月』(宮城谷昌光・著)読了

中国・漢の時代。
河北の貧しい名家・竇(とう)家の娘・猗房(いぼう)は、郷の長老の推薦で後宮に入ることに決まった。
しかし、彼女は皇帝の寵愛を受けることはなく、北の異民族と国境を接する、辺境の国である代国の王室に嫁がされることになるが……。
いっぽう、猗房の幼少の弟・広国は何者かにさらわれ、奴隷として身売りに出され艱難辛苦な少年期を過ごすことになる。
王室に嫁ぎ、のちの皇帝を生むことになる心清き姉と、いばらの年少期を過ごしていた弟の、変転の人生を描いた、短編小説です。

文字が大きく、薄い文庫本でとても読みやすく、2時間ぐらいで読むことができました。
長編の多い宮城谷小説のなかでは、かなりのショートストーリーだと思います。
また春秋戦国時代の著作がおおい宮城谷小説のなかで、前期とはいえ漢の時代を題材にした物語は珍しいです。
読み終えた後に、なにか心が温まるような、そんな佳品にめぐり会えたと思えました。
評価は、文句なしに、★★★★★

『玉人』 (宮城谷昌光・著)読了

宮城谷昌光さん著『玉人』。
ずっと以前に買っては、部屋の本棚に埋もれていました。
時間ができたので読んでみました。

この本は、「雨」「指」「風と白猿」「桃中図」「歳月」「玉人」の6編の短編小説を集めた本です。
ミステリー小説的な色合いがあり、宮城谷さんの作品としては珍しいです。

「雨」 夢に出てきた牛という謎の若者が現実に…。
「指」 女性に真の幸せをもたらす天与の指をもつ男の生涯。
「風と白猿」 墨子の孫、原々斎の名推理が冴えます。
「桃中図」 虚弱な少年が庭に生えた桃の木によって運命が変わります。
「玉人」 有能でハンサムな官僚が人妻を待つ男のお話。
「歳月」 賊に襲われ父親と夫を殺された娘の数奇な運命を描きます。

読む前はあまり期待薄でしたが、読み終えるとほのかな感動を味わえました。
ということで、評価は★★★★

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